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Brain Science Foundation の過去、現在、未来
本財団は、1986年に脳科学の推進のため本田宗一郎様、塚原眞佐子様、前理事長の伊藤正男先生、歴代理事、評議員、をはじめとする多くの方々のご尽力により設立され今日に至っております。脳科学は、生命科学の最後のフロンテイアですが、設立当時は、公的研究助成も控えめであり、特に若手の研究者に対する研究助成の機会は、極めて限られていました。そのような状況下で発足した本財団の事業は、多くの脳神経科学者からの大きな期待を集めました。
本財団の主な事業は、生命科学の分野で優れた研究成果を挙げさらに発展しつつある若手研究者を顕彰する塚原仲晃記念賞と若手研究者にたいする研究助成、海外派遣助成、海外研究者招聘助成等からなっていますが、いずれも毎年厳しい競争の中から、優れた応募者に対しての助成を行ってきました。中でも塚原仲晃賞は、我が国の若手研究者の登竜門としての声価を確立し、若手研究者を顕彰し、育てさらに大きく発展させるのに、大きな役割を果たしてきています。このように本財団の事業は、順調に発展してきております。
脳科学は、人の人たる所以、生命の進化の究極である「脳」を対象にした科学であり、"私達自身を知りたい"というCuriosity driven science の最たるものであり、基礎科学中の基礎科学を基盤としています。今日その研究は、遺伝子、分子、細胞、脳、行動をつなぐものとして大きく発展してきており、その成果をもとにしてさらに心の病、神経疾患、さらには、精神衛生や教育の分野にまで大きく広がってきています。又、コンピューターや、ロボット工学の発展にも大きく資するものとなっています。
世界的にこの生命科学の最後のフロンテイアである脳科学に大きな期待が寄せられ、研究は、加速的に進展していますが、同時に激しい国際競争の場でもあります。この分野のさらなる発展のためには、日々の研究費をはじめ、モデル動物の開発・飼育、大型設備、先端的イメージング設備など多くの研究資金を必要としています。しかしながら現在の国の経済的状況を反映して残念ながら、研究現場の必要を満たすには、公的研究資金の不足が目立ちます。このような状況下で、比較的自由に使うことのできる本財団の助成は、若手研究者にとり貴重な支えとなっています。
本財団は、平成22年10月1日に公益財団法人として認定され、新たに公益財団法人ブレインサイエンス振興財団として発足しました。皆様の大きなご期待にこたえて、我が国の脳科学をさらに大きく発展させ、広く社会全体にその成果を広めるため今後ともこの事業の重要な使命を果たしていく所存です。皆様の温かいご支援とご協力をお願いいたします。
財団理事長 廣川 信隆 |